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キノトライブ2014レポート

キノトライブ2014
<クラウドファンディング・リアル!vol.2_②>
日時:2014年1月28日(火)18:30~21:00@オーディトリウム渋谷
【上映作品】
『LINE』(監督:小谷忠典/2008年)
『空にきえていく』(監督:石川学/撮影監督:壱岐紀仁/2013年)
『卒業』(監督:太田信吾/2009年)
【トーク登壇者】
小谷忠典、壱岐紀仁、石川学、太田信吾
司会:土屋 豊(映画監督)

 先月27日と28日、独立映画鍋の<クラウドファンディング・リアル!vol.2>という上映イベントがオーディトリウム渋谷で行われました。<クラウドファンディング・リアル!>とは、ネット空間で行われているクラウドファンディング(不特定多数の人からプロジェクトに対する寄付を募るシステム)をリアルな現場で体験しようとする試みで、一回目は昨年(2013年)、東京国際映画祭の特別プログラムとして開催されました。
http://eiganabe.net/2013/10/11/653
http://eiganabe.net/2013/10/22/669
 今回はその二回目ということで、一回目の経験を踏まえつつ、司会者を交えたトーク形式にしたらどうか?という意見を取り入れてやってみたわけですが、私は二日目、28日の司会を担当したので、当日の様子を簡単に報告しようと思います。
 まず、これからクラウドファンディングを開始する予定、あるいは既にファンディング中の監督、プロデューサーの過去の作品を上映しました。家族や周囲の人々との関係をこじらせ悶々とする青年を描いた『LINE』、『卒業』の間にピュアな少年の眼差しを描いた『空にきえていく』が挟まれ、なかなか面白い上映プログラムになったのではないかと思います。『空にきえていく』の少年の眼差しもいつかは濁り、『LINE』や『卒業』の青年たちのように悶々とするんだろうなと個人的には思った次第です(笑)。
 上映後は各監督、プロデューサーに現在のプロジェクトをトーク形式でプレゼンして頂くという段取りで進めましたが、全体の時間の関係上、ひとつのプロジェクトの持ち時間は約8分でした。更にその8分の中で3分のトレーラーを上映するという無謀な計画でしたが、これがわりと話がコンパクトにまとまって良かったんじゃないかと思います。
 小谷忠典監督のクラウドファンディング・プロジェクトは、映画『フリーダの遺品(仮)』のポスプロ費の支援を募るもので、50年ぶりに発見されたメキシコを代表する画家フリーダ・カーロの遺品を、写真家・石内都が撮影する過程に密着取材した監督の想いを語ってもらいました。このクラウドファンディング・プロジェクトは現在準備中で、近日中にスタートする予定です。

 壱岐紀仁監督と石川学プロデューサーには『ねぼけ』について話してもらいました。『ねぼけ』は、日本の伝統落語に生きる噺家と、神話の国・宮崎に伝わる古い信仰に生きる女性の愛を描いた作品で、お二人のお話からはとても純粋な映画にかける想いが伝わってきました。このクラウドファンディング・プロジェクトは昨年10月からスタートしていて、既に目標金額を大きく上回るサポートを頂いているとのこと。おそらく、二人の生真面目な人柄もその結果に大きく貢献してるのではないかと思いました。

 太田信吾監督には『わたしたちに許された特別な時間の終わり』のプレゼンをしてもらったわけですが、この作品は私も共同プロデューサーとして関わっているので、太田監督がきちんとプレゼンできるかちょっと、と言うかかなり不安だったわけですが案外ちゃんとしてたので、会場の皆さんにもその想いは伝わったのではないかと思います。『わたしたちに~』は自殺してしまった太田監督の友人にまつわるドキュメンタリーとフィクションが入り混じった作品になっていて、現在、絶賛クラウドファンディング中です!

 以上、簡単な報告でしたが、【映画鍋】としてはクラウドファンディングをより有機的なコミュニケーションの場にすべく、様々な企画を続けたいと思っていますので、今後も是非ご注目下さい!
(文責:土屋 豊)
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