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キノトライブ+独立映画鍋レポート

キノトライブ+独立映画鍋
<クラウドファンディング・リアル!vol.2①>
日時:2014年1月27日(月)18:30~21:00@オーディトリウム渋谷
【上映作品】
『朱霊たち』、『ジェラシー/Jealousy』パイロットフィルム、『マタニティ・ブルー』
【トーク登壇者】
歌川達人(『うらぎりひめ』宣伝担当)、『朱霊たち』出演者の方々
山本俊輔(映画監督)、『ジェラシー/Jealousy』出演者の方々
司会:深田晃司(映画監督)
 独立映画鍋<クラウドファンディング・リアル!vol.2>として上映された作品は、フランス在住で作品制作を続ける孤高の舞踏家兼映像作家、岩名雅記監督の第一作『朱霊たち』と脚本家や小説家としても活躍し、次回作『ジェラシー/Jealousy』に闘志を燃やす、山本俊輔監督の『マタニティ・ブルー』、『ジェラシー/Jealousy(パイロット版)』であった。3作品とも、既存の映画的文法に縛れないような、強力な個性に富んだ作品であり、つめかけた観客の感性に突き刺さるような上映となったのではないだろうか。

 上映後のトークは作品ごとに行われ、最初の『朱霊たち』のアフタートークでは、出演者の長岡ゆり氏、澤宏氏が駆けつけ、撮影時の思い出話や岩名監督の演出に関して、率直な意見が飛び交った。岩名監督の前作『うらぎりひめ』の宣伝を担当した歌川からは、岩名監督次回作『シャルロット/すさび』のクラウドファンディング告知と目標金額達成の報告が行われた。トークの最後に司会の深田氏から「目標金額が達成された作品だが、クラウドファンディングは継続している」というアナウンスがあった。その言葉には、「シャルロット/すさび」のクラウドファンディングは引き続き支援を募っている(2014年2月現在は終了)という実務的な意味と同時に、製作自体はこれからがスタートであり、その作品製作の経過を支援者と共有していくこと自体も、クラウドファンディングとして続いているのだという意味に聞こえたのは私だけではないはずだ。金銭的な支援を頂いて終わりではなく、支援した方々の期待に応えるような作品を制作すること。岩名雅記がこの重圧に耐えうる映像作家であることは、3人の登壇者の話と上映された「朱霊たち」を観れば、分かって頂けたのではないだろうか。

 続いて、山本俊輔監督の2作品上映後のトークでは、パイロット版が上映された『ジェラシー/Jealousy』の出演者の方々がつめかけ、賑やかなトークとなった。話は上映作品の紹介から、現在クラウドファンディング中の『ジェラシー/Jealousy』へと移り、監督をはじめ出演者の方々から製作への強い意気込みが語られた。その中で作品のテーマのひとつである精神病に着目し、監督が自身の苦い実態経験を語った。現代社会を語る時に外すことの出来ない大きな問題である「精神病」。このテーマをどのように作品に昇華させ、観客に提示できるかが作品のキーになるようだ。また、多彩な出演者が製作段階から協力し、作品を制作するという珍しいスタイルが、今後どのような化学反応を見せるかも注目していきたい。
(文責:歌川達人)
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